秋は、夕暮。
夕日のさして、山の端(は)いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。
まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。
日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。
夕日のさして、ビルの端いが邪魔になりたるに、ムクドリの寝どころへ帰るとて、三千四千、二百三百など、飛び急ぐさえ騒々しけれ。
まいてカラスなど群がりたるがいと大きく見ゆるは、いと恐ろし。
日入り果てて、クラクションの音、客引きの声など、はたいふべきにあらず。