チェックインを済ませ、通された部屋は広縁付きの10畳。バストイレはありませんが、広縁部分に小さな洗面台はあります。荷物を部屋に置き、6時の夕食までの間、散歩に出ることにしました。
建物の西側には釣りのできる池があり、その向こうを少し登ると、すり鉢状に起伏のあるコスモス畑があります。今年は機械で種を蒔いたので隙間が多く、そこに雑草が茂って見栄えはもう一つと言うことです。コスモス畑の中ほどには小川が流れ、小さな湿地もあります。春には水芭蕉が見られるかもしれません。コスモス畑の南側は広葉樹の密生する丘になっていて、そこを尾根伝いに進むと急に視界が開けます。そう、その眼前に広がる草原こそ今回の目的の地「内山牧場オートキャンプ場」です。
南に向かって緩い下り勾配となっているキャンプ・エリアの向こうには、荒船山にある高さ200mの岩壁「艫岩」(ともいわ)も見渡せます。
平日とあってキャンパーはまばら。未就学児を連れたファミリーが二組、中年の夫婦連れが一組、あとはほぼソロキャンパー。しかも大型二輪で来た男性が多い。区画のないフリーサイトで隣のテントとの距離は数十メートルあり、人工的な音は何も聞こえません。
青い空、頬を撫でる風、広い草原、すべてが想像通りの完璧なシチュエーション。
西の稜線に沈もうとしている太陽の左右には彩雲がみられ、一時は幻日と言えるほどに輝いていました。
敷地内を一周してクルマに戻り、上着を着込んでから再び丘の上の展望台に立つと、ちょうど日没の時刻でした。
秋は夕暮れ
夕日のさして山の端いと近うなりたるに
烏の寝どころへ行くとて 三つ四つ 二つ三つなど
飛びいそぐさへあはれなり
まいて雁などのつらねたるが
いと小さく見ゆるはいとをかし
日入りはてて 風の音 虫の音など
はたいふべきにあらず
残念なことに、天空一面が赤く染まるほどの夕焼けは見られませんでした。
つづく