フルタイム勤務もあと半年。年休消化のため平日の公園散歩。
新米退職者のため、平日に遊んでいると後ろめたさがまだ残る。
穏やかな秋日、人も少なくのーびり。
訪れている人達は子供連れのママさんがほとんど。その中で濃紺のスーツに身を固めたビジネスマンらしき四十代の男性が一人、ベンチで新聞を読んでいた。
夜のために体力温存中の営業マンか? 会社を辞めたことを家族に言えず、朝家を出てきたのか?
慎之介のリードを持つマナにも力が付いてきて、放してなるものかと、かなり粘っている。
慎サク、ダメだってさ。
動物園の入口で待っていた慎サクは、動物編に入ろうとする子供達の人気者となった。
熊さんたちの前座として、ご挨拶されたり、いい子いい子されたり。
「同じ目線で話すのよ」とママに言われて、慎サクの前で寝そべる子供も!
ほんわかした陽気に動物たちもくつろいでいて、肉食動物という自覚も緊張感も無い。
悪役のブチハイエナも、リーダーがいないとこの通り。
この子たちだけは、何故か元気だった。コモンリスザル。
「動物園、入りてえなあ・・・・」サク
サクは母が去って行った方向をずーっと見ているが、慎之介は私が居れば寝ている。
半世紀以上前からこの場所にある乗り物。マナだけのために動かしてくれました。200円
父が離れると、その方向をずーっと見ている慎之介。
かと言って普段から父と仲が良い訳でもない。