あやの結婚披露パーティで、プロに依頼していた写真が届いた。
折角なので、花嫁の父としてのエピソードを二つ。
一般的には、チャペル若しくはチャペル風の式場で、花嫁は父親にエスコートされて入場し、神父の前で待つ花婿に引き継がれる。
この二人は、式自体をモルディブで済ませてしまっているため、愛の誓いや指輪の交換などはない。しかし、披露宴で父に最後のバージンロードを歩かせてくれるというので、この話に乗った。
新郎との間で、「それじゃあ、娘を手渡した後にハグでもすっか?」という話になり、花嫁がドレスアップをしている間に二人で2度のリハーサルを行った。
花嫁を新郎に渡し、父は新郎と握手、そのあとお互いに右足を一歩前に踏み出しハグをする。
きれいにキマッタと思う。花嫁は隣でバカ笑いをしているのでフレームから外した。
(後ろ向きでわからなかったけれど、写真でみるとゲスト受けはしてなかったような・・・・)
披露宴も終盤に差し掛かり、子供の頃からの懐かしい写真がレターロールとして次々と映し出される前で、花嫁は両親への手紙を読んでいる。
会場が静まり返り、ふたりから両親へ感謝の気持ちを込めた記念品の贈呈へと移る。
「今だ!」
父はポケットに忍ばせた目薬をおもむろに取り出し、大きく振りかぶって大量に点眼した。
会場がドッと沸いた。
「良かったあ・・・」
どのタイミングで目薬を注せば、この古典的なギャクをすべらずに実行できるのか?
娘の手紙も聞かずに、必至で考えていた成果だ。
それまで、感傷の涙を堪えていた母は、一転して笑いを堪えるのに難儀しているように見える。
一般的には嫌だろうなあ、こんなオヤジ。
パーティーに出掛ける朝、「目薬ある?」と聞いたら、出してきた母さんが悪い。
しかし、「この父にしてこの娘あり」と周囲が納得していたようなので、許し賜らんことを祈る。